Nikon Zfでオールドレンズを楽しむための手順や設定について、下記記事でまとめています。
本記事では、TECHARTブランドの、Zマウント to ライカMのオートフォーカス対応のマウントアダプタである「TZM-02」を利用してZfとオールドレンズを楽しむ上での撮影のポイントと注意点をまとめていきたいと思います。
なお、本記事は、Zfのファームウェアverの1.xと2.0以降それぞれについて、記載しています。あまりネット上に、ver2.0以降について記載のある記事や動画がなかったので、自分で調べたり試したりした内容をまとめておくための備忘録でもあります。
概要/前提
オールドレンズを現代のカメラで利用しようとすると、マウントが違うためそのままでは利用できません。そのため、マウントアダプタを利用してレンズを装着し、利用することになります。
本ページでは、NikonのZマウント用のマウントアダプタの1つである TECHART製の「TZM-02」を紹介、解説しています。
TZM-02のハードウェアとしての特徴
金属マウントで、アダプタ内部に植毛加工

マウントは金属です。蓋も金属で、しっかりしています。アダプタ内部は植毛加工されており、内面反射を抑制しています。
TZM-02のマウントアダプタとしての特徴
AF(オートフォーカス)に対応
「TZM-02」は、上述の通り、Nikon Zマウント用のマウントアダプタで、ライカMレンズを装着できるようにするマウントアダプタになります。
ただライカMレンズを利用できるようになる、というだけでなく、レンズをまるごと前後に動かすことでAFに対応することが最大の特徴になります。
ライカMへのマウントアダプタなので、ライカMから変換するマウントアダプタ経由で多くのレンズに対応できる
ライカMマウント自体が歴史があり(1954年〜)、多数のレンズが出ているマウントですが、さらに、ライカMから様々なマウントに変換するマウントアダプタがあるため、それらと組み合わせることで、ライカM以外のマウントのレンズも装着して、オートフォーカスで利用できる、というのがポイントです。
ライカMから変換するアダプターは、下記のように多数あります
- ライカM to ニコンF -> K&F Concept KF-NFM
- ライカM to ヤシカコンタックス -> K&F Concept C/Y-L/M
- ライカM to ミノルタSR(MD, MC) -> K&F Concept KF-SRM2
- ライカM to OLYMPUS OM -> K&F Concept OM-L/M
- ライカM to PENTAX K -> K&F Concept PK-L/M
- ライカM to M42(プラクティカ) -> K&F Concept M42-L/M
閑話: フランジバックが最も短いNikon Zマウント
レンズは、その設計として、イメージセンサー(フィルムカメラならフィルムの感光する膜面)とレンズの間の距離にズレがあると、結像できず利用することが出来ません。
そのため、マウントアダプターは、ただカチッとハマるようにするというだけでなく、この距離を調整するものになります。
なお、マウントの取り付け位置とイメージセンサーとの間の距離を「フランジバック」といいます。
NikonのZマウントは、このフランジバックが現存するカメラマウントの中で最も短いです。そのため、物理的に最も多くのレンズをマウントアダプタを介して装着できる可能性があります。
レンズごと動かすので、前に繰り出して最短撮影距離を縮めることが可能
TZM-02は、レンズを前後に動かしてオートフォーカスを実現します。これは、ヘリコイド付きマウントアダプタと同様の動きになり、レンズの最短撮影距離をより短くする事が出来ます。
特にライカMマウントのレンジファインダー用のレンズは寄れないレンズが多いため、重宝されそうです。寄れるレンズはさらに寄れるようになります。
ファームウェアアップデートが可能

リアキャップに、microUSBコネクタがあり、電子接点経由で、ファームウェアアップデートが可能です。 ファームウェアアップデートで機能が増えたり問題が解消したりする可能性があります。
公式の情報
「TZM-02」の基本操作
TZM-02には、付属の説明書がありますが、上記のようにPDFで公開されています。この中に基本的に抑えるべきことがあります。
全般的に抑えるべきことと、撮影時に捉えるべきことに分けて、列挙します。
全般的に抑えるべきこと
- 500g以上のレンズおよびマウントアダプタをTZM-02に装着しないようにしてください
- 重いレンズを利用する場合は、レンズを手で支えて使用してください
- TZM-02の取り付け、取り外しはカメラの電源をOFFにしてから行ってください
- ※カメラ電源ON時に電子接点経由で通信を行うためかと思います
- カメラ本体側のファームウェアアップデートで、TZM-02がうまく動作しなくなる恐れがあります
撮影時に抑えるべきことやコツ
- 撮影モードは、A(絞り優先)モード、あるいは、M(マニュアル)モードで撮影してください
- AFエリアモードのうち、ピンポイントAFには対応していません
- F値を絞った暗い状態だと、オートフォーカスでのピントが合いづらくなります
- 撮影したいF値でピントが合わない時は、一旦絞り開放でピントを合わせてみて、ピントを合わせた状態のまま、レンズの絞りリングを絞るという手順が推奨されています
- ただしこの場合、シャッターボタン半押しでのピント合焦で、AEロック(露出測定結果を固定)してしまって、適切な露出を得られない可能性があります。設定で「シャッターボタンAEロック」を「しない」にすることで、適切な露出が得られるようになります。
- 撮影したいF値でピントが合わない時は、一旦絞り開放でピントを合わせてみて、ピントを合わせた状態のまま、レンズの絞りリングを絞るという手順が推奨されています
- 基本的には、レンズのフォーカスを無限遠(∞)に合わせて、撮影します。寄って撮影する場合は、レンズのフォーカスを最短距離(無限遠と逆)に合わせて撮影します。
- その他条件に問題なければ、基本はこれでシャッターボタン半押しで、オートフォーカスでピントが合うことが多いです
- 最短撮影距離よりも寄って撮影しようとしている場合、TZM-02が繰り出して、最短撮影距離を縮めてくれるのでそれでピントが合う場合があります。ただそれでも限界はあるので、全力で繰り出してもダメそうなら、ちょっと離れましょう
- 問題は、寄るというほどでもないが、近くを撮るときです。この場合は、自分で(MFで)フォーカスを合わせた上で、シャッターボタン半押しするとスルッとピントが合います。無限遠のまま、あるいは最短距離のままで、中途半端な距離の撮影をすると、「全然オートフォーカスが合わない、TZM-02使えない」となりがちな気がしますので、ご注意ください。
- ピントについて迷っていて最終的にピントが合わせられないという場合、通常のZマウントレンズだとAF!みたいな表示になるように思いますが、TZM-02装着時には、何も起きません。頑張って合わせようともしてくれないし、AF!みたいな表示にもなりません。
- この点も、「TZM-02使えない」となりがちな点に思います。私も明確にこうすれば直るみたいなのを発見できていませんが、以下のいくつかを試すと解消するかもしれません
- 試すこと(どれか1つあるいは、順々に、あるいは組み合わせで)
- 絞りを開放にする(上述のとおり、絞っているとピントが合わせづらくなるみたいなので、絞っていたら解放する)
- フォーカスについて、寄っての撮影なら最短距離、そうでないなら無限遠にする
- 手動で(MFで)フォーカスを合わせて、シャッター半押しする
- 一度カメラの電源を 落として、再度ONする
- 試すこと(どれか1つあるいは、順々に、あるいは組み合わせで)
- この点も、「TZM-02使えない」となりがちな点に思います。私も明確にこうすれば直るみたいなのを発見できていませんが、以下のいくつかを試すと解消するかもしれません
起動時の動作を設定できる
起動時(TZM-02を装着して、カメラ本体の電源をONにしたとき)の動作を設定できます。
- 電源ON時、マウント名は、最後に撮影した位置で起動
- 電源ON時、マウント面は、繰り出してない(一番引っ込んだ状態)で起動します(こちらがデフォルト)
設定手順は、以下の通りです。
- 上記の1.にしたい場合、カメラ側のF値を6.3にする。上記の2にしたい場合、カメラ側のF値を7.1にする
- シャッターを切る(切れない場合は、MFにして切る。シャッターを切ることで電子接点経由でカメラ側のF値を通信で取得すると思われます)
- カメラの電源をOFF
- 再度カメラの電源をON
これで設定変更が完了です
便利な機能: 本体F値設定で、撮影画像のExifに記録されるレンズの焦点距離を設定可能
TMZ-02には、カメラ本体側のF値設定に基づいて、撮影時の焦点距離を画像に保存出来る機能があります。
カメラボディのF値を所定の値にすると、TZM-02側から、装着レンズの焦点距離情報を偽装してカメラ本体に送信してくれるため、画像のExifに焦点距離が記録されることになります(ただし、F値もそのまま記録されてしまうため、F値は正しく無い値が画像に記録されます)。
F値と画像のExifに保存される焦点距離との関係は下記の画像のような感じです(説明書そのものです)。

こちらの機能は、マウントアダプタである「TZM-02」が、レンズ側との通信を偽装してレンズ本体と通信することで実現しています。つまり、カメラボディ側からは、普通にAF対応の電子接点付きのレンズが装着されているという風に見えるため、そもそもMFレンズ(非CPUレンズ)が装着されていると認識されていません。
そのため、MFレンズ(非CPUレンズ)が装着されているとき用の設定である「レンズ情報手動設定」の設定はすべて無視されることになります。(TZM-02を装着して、AFモードをMFにしても同じでした。)
つまり、以下のような形になります。
普通のマウントアダプターの場合
| 項目 | Zfのファームウェア1.x時 | Zfのファームウェア2.0以降 +「記録用絞り値の設定」をON |
|---|---|---|
| 画像Exifに記録されるレンズ名 | 記録されず | 「レンズ情報手動設定」で設定したレンズ名(設定しなければ記録されず) |
| 画像Exifに記録される焦点距離 | 0.0mm | 「レンズ情報手動設定」で設定した焦点距離が記録される (設定してない場合、0.0mm) |
| 画像Exifに記録されるF値 | F0 | カメラボディ側のF値が、そのまま撮影画像のExifに撮影時のF値として記録される |
TZM-02の場合
| 項目 | Zfのファームウェア1.x時 | Zfのファームウェア2.0以降 +「記録用絞り値の設定」をON |
|---|---|---|
| 画像Exifに記録されるレンズ名 | 「50mmf1G」と固定で記録される | |
| 画像Exifに記録される焦点距離 | カメラボディ側のF値に従い、TZM-02によって(上記の表にしたがって)撮影画像のExifにレンズの焦点距離が記録される | |
| 画像Exifに記録されるF値 | カメラボディ側のF値がそのまま撮影画像のExifにレンズのF値が記録される(焦点距離のために設定したF値がそのまま記録されるため、実際の値とは違う値が保存される) | |
TZM-02にするか、普通のMFなマウントアダプタにするか
上記を踏まえて考えると、Nikon Zfでファームウェアのバージョンが、2.0以上であれば、電子接点のない通常のマウントアダプタであれば、適切に設定すれば撮影画像に、レンズ名、焦点距離、F値がすべて問題無く記録されるようになりました。
逆に、TZM-02を利用した場合、電子接点がありAF動作のためにレンズ情報を偽装する必要があるため、撮影画像に焦点距離しか正確に記録されないことになります(説明書の表にある焦点距離以外は正常に記録出来ないので、それも完全ではありません)。また、F値も正確なものが記録されず、あとから写真全部のF値を入力・設定するのは難しいようにも思います。
TZM-02の場合、上記の表を参照するか覚えてないと正しい焦点距離にならない上に、正しい焦点距離でないと、手ぶれ補正も正しく動作しないという点も注意が必要です。逆に正しくカメラボディ側のF値を合わせていれば、ファームウェアバージョンに寄らず、手ぶれ補正は正しく動作する、ということになりそうです。
MFでも楽しいですし、TZM-02はなかなかのお値段なので、そう考えると普通のMFなマウントアダプタで良いなと思う面もあります。
一方で、明るい日で、レンズとの相性が悪くなく、最短撮影距離以上であれば、結構スルッとオートフォーカスでピントが合い、リズム良くパシャパシャ撮影していけるというのも魅力的ではあります。
その他、MFで動体にピントを合わせるのは難しい場合、TZM-02なら撮影出来るかもしれないという利点はあります。下記の写真は、Zfの被写体認識(まだver1.xだったので、鳥認識はなかった)に全部任せて、パッと撮影した写真です。(F値は開放だったと記憶しています。私のMFではこの写真は撮れませんでした。)

なにより、「オールドレンズをオートフォーカス対応で使える」という点にロマンがあります。
ファームウェアアップデートで、なんとかならないのかなと思うのですが、おそらくかなり難しそうな気がしてます。電子接点があり、フォーカス移動についての通信を行っている以上、レンズ側からレンズ情報を本体に送る必要があり、レンズ側からのレンズ情報を本体が採用すると思われます。レンズ情報だけ送信しない時にボディ側で手動設定のレンズ名が記録されるとかになる仕様だとすると出来るかもしれないですが、そうしているとも思えないところです。また、マウントアダプタ側とボディが通信して手動レンズ情報を読み取れるようになっていれば良いのかもしれませんが、それもそうしているとは思えないです。
TZM-02が良いかもしれない人
- AFで軽快に撮りたい(老眼などで、MFが厳しい場合も含む)
- TZM-02の値段が許せる、安いと思える
- TZM-02の細かい注意点もたぶん慣れるから大丈夫
- オールドレンズがAFで使えることにロマンを感じる
- レンズ毎繰り出すことで、最短撮影距離が短くなることに利点を感じる
- 撮影画像のexifは、撮影後に手動で設定するで良い(あるいは、Exifとかはどうでもいい)
- ライカM経由でいろいろなマウントアダプタが揃っている(or 買い揃えることを厭わない)
普通のMFなマウントアダプタが良いかもしれない人
- TZM-02が微妙と感じる
- 値段が高い
- 細かい注意書きがめんどくさい
- MFが楽しい、MFで良い
- Zf ver2.0以上など、電子接点が無いマウントアダプタの方が便利な点を使いたい
- レンズ名、焦点距離、F値を撮影時に自動で記録してほしい
- F値の最低値をレンズの最低値以下に出来ないようにしてほしい
まとめ
整理していたら、Zfのファームウェアのバージョン2.0以上なら、撮影画像のExifの面について、TZM-02だと結構デメリットが多いなと気付かされました。
オートフォーカスでオールドレンズが動くのは面白いのですが、Exifを後からいじるのも、F値が正確でないものが記録されるのも不便に感じます。
どうもマウントアダプタって、リセールバリューも低くなりがちなので、この点も購入を躊躇するところです。
…普通のMFマウントアダプタも買おうかなと思い始めてしまいました(下記がありました)
著者/メーカー(ブランド): Shenzhen Zhuoer Photograph
SHOTEN マウントアダプター LM-NZ II (ライカMマウントレンズ → ニコンZマウント変換)
著者/メーカー(ブランド): SHOTEN
SHOTEN マウントアダプター LM-NZ EX (ライカMマウントレンズ → ニコンZマウント変換) (シルバー)
著者/メーカー(ブランド): SHOTEN
SHOTEN マウントアダプター LM-NZ M EX (B) (ライカMマウントレンズ → ニコンZマウント変換) ヘリコイド付き
著者/メーカー(ブランド): SHOTEN
Rayqual レイクォール マウントアダプター LM-NZ (レンズ)ライカM-(カメラ)ニコンZ (日本製) 586014
著者/メーカー(ブランド): 宮本製作所










